みなさんこんにちは、わんだらです。近年、不動産市場の「終わりの始まり」とも言われる大きな転換期が到来しています。特に「建売」の需要低下は顕著で、2024年から2025年にかけて“建売氷河期”という言葉が現実味を帯び始めました。これまで日本の住まいづくりを支えてきた建売住宅が、なぜ今、こうした苦境に立たされているのでしょうか。本記事では、その背景と今後の不動産業界の行方、さらには個人が取るべき対策について、徹底解説していきます。こういった内容は不動産投資家にとって、ビビってしまう要因ですが、知らないことの方がリスク。知った上で対処法を考えるのがリスクヘッジになりますので、是非最後までお付き合いくださいませ。
建売が売れない! その背景にある「2025年問題」
1. 人口減少が止まらない
日本では少子高齢化と人口減少が進行中です。国の推計によると、2030年頃には47都道府県の一部が事実上維持できなくなるとも言われ、全国各地で“まちごと消失”しかねない状況です。
これまで、人口増加を前提にした大量供給モデルで成り立っていた建売住宅ですが、買い手となる若い世代の数自体が減っているため、供給過多に陥ってしまっています。
2. 金利上昇と実質賃金の停滞
さらに追い打ちをかけるのが、金利上昇やインフレによる物価高騰です。住宅ローン金利はじわじわと上がりつつあり、物価上昇と相まって実質賃金は伸び悩み状態。将来の不安を抱える一般層が、高額なローンを組んでまで郊外や地方に建売を買うのをためらうようになりました。
3. コロナ禍の“すごもり需要”終焉
コロナ禍ではリモートワーク普及により、郊外や地方で広い家に住みたいという“すごもり需要”が一時的に急増しました。しかし、コロナ規制が緩和され、人々の動きが戻り始めると、一気に都心回帰の動きが強まりました。供給を増やしたものの、その需要が続かなかったことで、在庫がダブつく建売業者が増加しています。
建売需要急減がもたらす「不動産無価値化」のリスク
1. 地方や郊外ほど影響が大きい
都市部以外の地域では、そもそも人口が減少傾向にあるうえ、交通や生活インフラの維持費用もかさむため、自治体が“選択と集中”を迫られています。これまで「当たり前」に維持されていた上下水道や公共交通網が整備されなくなるエリアが出てきてもおかしくありません。そうなると、住宅価格はもちろん土地の価値自体が著しく下落し、“不動産無価値化”に近い現象が起きやすくなります。
2. 三極化で明暗がくっきり
今後の不動産は、次の3つに分類されるとされています。
- 価格が維持される都市部・再開発エリア
- 価格が緩やかに下がっていく一般的な郊外エリア
- 急激に価値が落ち込む“二束三文”エリア
「三極化」という言葉の通り、これまで“二極化”と呼ばれていた現象が、さらに一歩進んで“明確に残るエリア”と“極端に衰退するエリア”の2つに分かれる予兆があります。経済や雇用の中心地である都市は人口が集中し、再開発が行われ続ける限りはある程度の地価を維持しますが、逆に地方や都心から遠い郊外エリアは急速な地価下落が見込まれています。
3. ハザードリスクが招く価値の大幅下落
近年は台風や豪雨による大規模災害が多発し、ハザードマップが不動産の価値に大きく影響するようになりました。すでに川や海などの水害リスクの高い地域、地盤の弱いエリアは買い手がつきにくくなっており、建売に限らず、中古戸建やマンションでも敬遠されがちです。今後もこの傾向が続き、価格下落のスピードは速まる可能性があります。
2025年以降に訪れる「終わりの始まり」
1. 国の政策との矛盾
日本では長らく「新築着工件数」を景気の指標とみなし、それを伸ばすことを“成功”とする国の政策が続いてきました。しかし、人口減少や経済構造の変化で、新築を無理に作り続けるモデルは機能不全をきたしています。
にもかかわらず、政治的・経済的な背景から建売住宅をはじめとした新築供給が止まらず、在庫の山が生まれています。国や自治体も本音では“立て続けに建てても売れない”状態を公にしたくない面があり、マスコミも騒ぎすぎないように配慮しているのが現状です。
2. 不動産業界の崩壊シナリオ
2030年頃には、地方の建売事業者だけでなく、全国展開のハウスメーカーも大規模な縮小や撤退を余儀なくされる可能性があります。なぜなら、家を売るどころか土地すら売れないエリアが増えるからです。工場などの製造基盤を抱える都市圏や、再開発によって人が流入しやすい拠点は残るでしょうが、それ以外の場所は建売事業自体が成り立たなくなるリスクが高まっています。
3. “中古”大量供給でさらなる供給過多
さらに2025年以降は相続のピークを迎え、空き家や中古物件が大量に市場に出回ると予想されます。すでに人口減少で飽和状態にあるところへ、新築だけでなく中古物件も一気に増えれば、価値下落は一段と進みます。いわば“負のダブルパンチ”が訪れるわけです。
これから不動産を買うなら押さえておきたい5つのポイント
「それでも住宅を買いたい」「投資用に物件を持ちたい」という方は、今後の三極化の進行を踏まえて、次の5点をチェックしてみてください。
- 人口が増加・流入する地域かどうか
再開発が継続的に行われているエリアや、製造業などの企業誘致が盛んな地域は今後も人口が流入する可能性が高いです。特に愛知県のように、トヨタ自動車をはじめとする製造基盤のある地域は“国が守る”傾向が強く、住宅需要が残りやすいとされています。 - 大型ショッピングモールや利便施設が近い
イオンなどの大型モールが機能しているエリアは一定の買い物需要があり、飲食や娯楽など複合的なサービスが存在します。ただし、人手不足でテナント撤退リスクもあるため、実際にそのモールが長く経営を続けられるかを見極めることが大切です。 - 学区や教育環境が充実している
有名私立校の近辺や教育熱心な地域などは、子育て世代が移り住む需要が根強く、地価も比較的安定する傾向があります。ただし、大学の場合は今後の統廃合の動きもあり、あまりに学生需要のみに頼るエリアはリスクが高まるので要注意です。 - 災害リスクが低い地域
ハザードマップで見て水害リスクや地震リスクの低い土地を選ぶことは、今後ますます重要になります。自治体の防災計画や過去の災害履歴を細かく調べておくと、物件選びの失敗を防ぎやすくなります。 - 転入・転出がバランスよく循環している地域
“団地の街”や“ニュータウン”で、一斉に高齢化が進み、コミュニティごと維持が難しくなっている事例は枚挙に暇がありません。若年層が一定数流入しており、高齢世代が抜けても空室がすぐに埋まるような地域は、不動産価値が比較的安定しやすいです。
終わりに:大転換期をどう乗り切るか
2025年問題を入り口に、都市部と地方の格差はさらに拡大すると見られ、建売需要は一部地域を除いて大きく落ち込んでいくでしょう。もはや全国一律で「新築を建てて売って利益を得る」という従来のモデルが成立しなくなる可能性が高いのです。
一方、再開発が進む都市部やインフラが整った“選ばれた地方都市”では、まだまだ住宅需要が見込まれます。今から不動産を検討するのであれば、「本当にそのエリアは生き残るのか?」という視点を持つことが何より重要です。不動産は高額な買い物であり、投資であっても“場所選び”が成果を大きく左右します。
時代の変化を見越してリスクを最小化したい方は、人口動態・経済動向・地域の未来計画に注目し、自身や家族が長期的に安心できる選択を検討しましょう。