年初一括か積立か?新NISAを最大活用するための2025年相場攻略法

当ページのリンクには広告が含まれています。
目次

1.はじめに:2024年の米国株は「新NISA元年」として好調だった

2024年はいわゆる「新NISA元年」として、投資家にとってとてもエキサイティングな年になりました。とりわけ米国株は強い上昇を見せ、S&P500をはじめとする主要指数が数回にわたって過去最高値を更新してきたのは記憶に新しいところです。

  • S&P500連動の投資信託が大幅上昇
    具体的には、SBI証券で取り扱われている「マネックス・アクティブ米国株式(S&P500)」やeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)といった主力商品が年初から約20〜30%ほども上昇。為替の影響もあり、日本円ベースではさらに含み益が膨らんだ投資家も多かったのではないでしょうか。
  • 積立投資と年初一括投資のパフォーマンス差
    また、「月30万円の積立投資」と「年初に一括投資」を比較した際、特に今年2024年は年初一括投資のパフォーマンスがきわ立ちました。友人がが実践している一括投資では、含み益40%超えのケースも報告されています。これほどの上昇相場はなかなか珍しいため、うれしい驚きとともに「じゃあ、来年(2025年)も一括投資をすべきか?」と悩む方は多いでしょう。

本記事では、2025年の米国株の見通しについて、S&P500・NASDAQ100を中心に解説するとともに、新NISA制度が続く中で「年初一括投資」は本当に有利なのか? という疑問にお答えします。また、2025年に起こり得る不確定要素として、トランプ氏が示唆する政策(減税強化・関税引き上げ・不法移民の強制送還など)にも触れ、投資家が注意しておくべきポイントを整理します。

2.2025年の米国株はどうなる?S&P500から見る今後の見通し

2-1.S&P500は大台6,000ポイントを突破

2024年の終わりにかけて、S&P500は大台の6,000ポイントを超え、何度も最高値を更新しています。堅調な米国景気や企業業績、さらにトランプ氏の政策への期待もあり、投資家のリスクオン傾向が継続している状況です。

過去40年ほどの年間リターンを見ても、S&P500は下落した年は7〜8年程度。それ以外はほぼプラスか大きな上昇を記録しています。もちろん、過去が未来を保証するわけではありませんが、米国経済は構造的にも強く、「下がったら買い」が定着しているのも事実です。

2-2.主要金融機関の予想は「最大で7,000ポイント」も

大手金融機関(ゴールドマン・サックス、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴなど)の2025年末のS&P500予想は6,500〜7,000ポイント前後が目立ちます。今の6,000ポイント前後からさらに10〜15%程度の上昇を見込む見方が多いのが現状です。

  • 市場の注目ポイント:米国の利下げ動向
    現在の米国政策金利は複数回の利下げによって、2024年末時点で4.25〜4.5%付近まで低下しました。この利下げペースが2025年にどれだけ進むかが、S&P500の行方を左右しそうです。
    • 1月と3月のFOMCでは据え置きの予想
    • 年央にかけて1〜2回の利下げが織り込まれている

米国の景気が想定より強い場合は、「思ったほど利下げが行われない」という展開も考えられますが、その場合でも利下げへの期待感自体が市場を支え、株価の押し上げ要因となる可能性はあります。

3.トランプ新政権が引き起こす波乱要因:減税・関税強化・移民政策

2024年までのバイデン政権と比べ、2025年以降のトランプ氏が打ち出す政策には投資家にとってプラス材料もあれば、波乱の種もあります。主に以下の3つが大きな議論を呼んでいます。

  1. 大規模な減税
    • 2025年に期限を迎える「個人所得税の減税措置」の延長
    • 法人税減税のさらなる拡充
    減税は企業利益を押し上げ、株式市場にはポジティブな要因です。一方で“お金が余りすぎる”ことによるインフレ圧力を懸念する声もあります。
  2. 関税の強化
    • ほぼ全ての輸入品に10〜20%の一律関税
    • 中国製品に関しては最大60%の関税を検討
    米国製造業を保護する狙いがありますが、高関税は物価上昇を招き、再度インフレ懸念が高まる可能性があります。
  3. 不法移民の強制送還
    • 前政権時に150万人だった強制送還を、今回は1,100万人規模へ拡大
    これが実現すれば人手不足が深刻化し、賃金が上がり物価上昇へとつながる悪循環(コストプッシュ・インフレ)が起こり得ます。

3-1.インフレが進めば再利上げリスクも

もしトランプの政策が急激なインフレを引き起こした場合、FRB(米連邦準備制度理事会)の再利上げという最悪シナリオがあり得ます。インフレ鎮静化のために利下げをしぶる、または再び利上げに転じるとなれば、株価には逆風です。

  • ドル高是正も念頭に?
    トランプ氏は「行き過ぎたドル高・円安は製造業の敵」と再三述べてきました。利下げ圧力を強めるなど、為替政策にも影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

4.NASDAQ100のAI銘柄はまだまだ伸びる?ビッグテックの独占効果

S&P500以上にボラティリティ(変動幅)が大きいのが、NASDAQ100です。構成銘柄にはガーファム(Google・Apple・Facebook(現Meta)・Amazon・Microsoft)や、AI・半導体で世界をリードするNVIDIAなどが含まれています。

4-1.AI時代の覇権を握るビッグテック

  • GAFAのデータ独占
    GoogleやAppleなどは、AI開発やクラウドサービスで蓄積されたデータやユーザーベースが他社を圧倒しています。
  • NVIDIAの半導体需要
    AI運用に欠かせない高性能GPUを生産するNVIDIAは、今や“AIインフラの中核”と言える存在。大手クラウド事業者がNVIDIA製品を採用し続ける限り、高い成長期待を保ちやすいでしょう。

4-2.「バブル懸念」はいつの時代も付きまとう

ただし、「割高感がある」とは常に言われるのも事実です。実際、2010年代半ばから「米国株バブルだ」「いつ暴落してもおかしくない」と囁かれ続けました。しかし結局、最高値を更新し続けてきたという実績があります。
もちろん、いつどんなきっかけで調整が来るかは分かりませんが、長期視点を持ってNASDAQ100やS&P500にコツコツ投資し続ける戦略は、大きく外してはいないと考えられます。

5.新NISAで年初一括投資すべきか?積立投資と比較した戦略

5-1.今年(2024年)は一括投資が圧勝

新NISAの非課税枠を活用して、今年(2024年)は「年初の一括投資」が大きな含み益を生みました。実際、年初時点で一括投資したケースでは40%以上のリターンが報告されており、毎月コツコツ積み立てるよりもはるかに好パフォーマンスを得ています。

5-2.しかし「未来の相場」は誰にも分からない

一括投資が成功するためには、“とにかく上昇相場が続くこと”が前提です。

  • もし年初に投資した直後に相場が下落すれば?
    下落を耐えきれずに売ってしまうと、損失が確定してしまうリスクが高まります。
  • ゆっくり積み立てていれば?
    下落時にも安い価格で買い増しできるメリットがあります。

5-3.懸念が大きければ「分割投資」が無難

「一括投資と積立投資の中間を取る」発想として、年初のうちに数回に分けて投資する、いわゆる**「分割投資」**も一つの選択肢です。たとえば1月に半分、2月に半分、3月に半分……と、3等分に分けて投資するなど、数カ月をかけて上手に購入タイミングを分散するやり方があります。

  • 分割投資のメリット
    • ある程度の利益チャンスを逃しにくい
    • 暴落時にも追加買い付けができる
  • デメリット
    • 相場が上昇し続ける場合は、フル投資していた場合よりリターンが下がる
    • 月ごとのタイミングを見極める難しさがある

6.年初一括投資の注意点:相場の未来は誰にも分からない

  • 投資の大原則
    市場予測は多くのアナリストや専門家が行っていますが、長期的に見ると「予測が当たり続けるアナリスト」はほとんどいません。例えば、2023年はマイナスの予想が多かったにも関わらず、実際は米国株が大きく上昇しました。
  • 心理的に耐えられるかどうか
    一括投資で一度に大きな金額を入れる場合、市場が下落すると精神的なプレッシャーはかなり強くなります。「今売らなければ、さらに損が膨らむのでは?」と不安になり、底値で手放すという最悪のシナリオも考えられます。
  • 積立投資は精神安定装置にもなる
    「先行きが分からないからこそ、時間を分散する」というのがドルコスト平均法(積立投資)の利点。利益を最大化するとは限らない一方、暴落局面でも安い価格で買い付け続けるため、長い目で見ればリスクを抑えた投資が期待できます。

7.まとめ:米国株の黄金時代は続くが、油断せずに長期投資を

2024年は、新NISAを活用した米国株投資にとって“当たり年”と言っていいほどの好調さを見せました。S&P500は年初来で20〜30%上昇する場面があり、さらに為替要因も加わって、日本円ベースでは含み益が大きく膨らむ投資家が続出しました。

2025年に向けても、主要金融機関はS&P500がさらに10〜15%上昇する可能性を指摘しています。NASDAQ100など、AI・ビッグテック銘柄を擁する指数についても、その独占的なイノベーション優位性から「まだまだ伸びしろがある」と期待する声は多いです。

一方で、トランプ新政権による大幅減税や関税強化などによって、インフレが再燃し、FRBの利上げが再発動するシナリオも否定できません。米国株の“黄金時代”が続くにしても、道中では大小の波が訪れる可能性が高いでしょう。

  • 新NISAでの投資判断
    • 一括投資:上昇相場が継続すればリターンは大きいが、暴落時のリスクは高い
    • 積立投資:精神的負担が軽く、下落局面で安く買い付けるメリットがある
    • 分割投資:両者のいいとこ取りを狙う、折衷案

最終的には、「自分のリスク許容度」 と照らし合わせて投資手法を選ぶのが大切です。相場は上がったり下がったりを繰り返すものなので、どんな投資手法であっても「長期視点でコツコツ継続する」ことが成功の秘訣と言えます。


◎本記事のポイントおさらい

  1. 2024年のS&P500は大きく上昇し、新NISA元年として多くの投資家が恩恵を受けた。
  2. 2025年も米国株上昇の予想が多いが、トランプ氏の減税・関税強化・移民政策でインフレ懸念は要注意。
  3. NASDAQ100はAI・半導体分野で世界をリードするビッグテック企業の独占状況が続き、引き続き有望視される。
  4. 新NISAの年初一括投資は、2024年のような上昇相場では圧倒的なリターンを生む一方、相場下落時にはリスクが高い。
  5. 迷ったら積立投資や分割投資でリスクを分散するのも一案。あくまでも長期目線で、無理のない方法を選ぶことが大切。
目次