みなさんこんにちは、わんだらです。高級ホテルグループの一角を担う「マリオット・インターナショナル」。その会員プログラムであるマリオットボンヴォイ(Marriott Bonvoy)と提携したクレジットカードとして人気を博しているのが「マリオットボンヴォイアメックス」です。SNSやブログなどでは「一泊無料宿泊特典」や「年間400万円決済でプラチナエリート」など、大きく魅力が謳われる一方で、「実際には思ったほどお得ではなかった」という声も少なくありません。
本記事では、かつてSPG(スターウッド・プリファード・ゲスト)アメックスを利用していた筆者の体験や解約に至った経緯を交えながら、マリオットボンヴォイアメックスのメリット・デメリットを徹底解説します。さらに年会費や特典、決済条件などを整理し、「自分に本当にこのカードが必要かどうか」を判断する材料を提供します。最後まで読んでいただければ、あなたがこのカードを作るべきかどうか、きっと判断しやすくなるでしょう。
1. マリオットボンヴォイアメックスとは?
かつては「SPGアメックス」として知られ、多くの旅行好きやホテル好きに支持されていたこのカードは、スターウッドとマリオットグループの統合に伴い、マリオットボンヴォイアメックスへと名称・内容が大きく変更されました。
- 年会費:49,500円(税込)前後(カードグレードによって変動)
- 無料宿泊特典:年間一定額をカード決済した場合、翌年度に無料宿泊特典(条件付き)を獲得
- ポイント還元率:マリオットグループでの利用でポイントが高還元(一般利用でも一定の還元率)
- ステータス特典:年間400万円決済で翌年度プラチナエリートなどの資格獲得が可能
「高級ホテルに泊まりたい」「旅を充実させたい」といった層に向けて、豪華なホテルステイを少しでもお得に楽しめるカードとして認知度が高まっています。しかし、一見魅力的な特典も、実際に利用条件を満たすのはそれほど簡単ではありません。
2. 一泊無料宿泊特典の落とし穴
もっとも多くの人が期待する特典が、「年に1回の無料宿泊特典」。しかし、単純に「無料宿泊がつくから年会費の元が取れる」と考えるのはやや早計です。
特典獲得までのフローに注目
実は、「年間150万円以上のカード決済」+「翌年度にカードを継続」という条件を満たして初めて、無料宿泊特典が付与される仕組みです。つまり、
- 初年度に150万円決済しても、その年のうちには無料宿泊特典は付与されない
- さらに翌年の年会費も支払ったうえで、やっと無料宿泊特典がもらえる
という流れになります。結果、最短ルートでも「2年分の年会費」+「150万円決済」が必要なのです。
宿泊可能範囲は意外と狭い
無料宿泊特典では最大5万ポイント分のホテルを予約できますが、実際に都内の高級ホテルを週末などピークタイムに利用しようとすると5万ポイントを超えることも多々あります。その場合は、追加でポイントを上乗せしたり、そもそも利用可能なホテルが限られてしまうという事態に。
例えば、都内の一部ホテルだと5万ポイント以内で宿泊できる日程はごくわずか。「無料なのに結局は使える場所・タイミングが限られてしまう」という声も決して少なくありません。
<無料宿泊特典のポイント比較表>
項目 | 条件 | 宿泊例の一例 |
---|---|---|
特典獲得 | 年間150万円以上決済 翌年度の継続 | 最短で2年分の年会費+150万円決済が前提 |
無料宿泊上限 | 5万ポイントまで +1.5万ポイントまで追加可 | 都内の場合、週末やハイシーズンでは5万ポイント超えが多く、 追加ポイントの用意か、限られたホテルを探す必要がある |
実際の宿泊可能性 | オフピークや地方・海外など | 地方のリゾートや海外のオフシーズンであれば使いやすいが、 都心の人気ホテルで週末利用は敷居が高い場合が多い |
このように「無料宿泊特典」と言われても、年会費+決済条件が必須となるうえに、宿泊できるホテルの選択肢にも制限があるのです。「それでも毎年必ずマリオット系のホテルに泊まりたい」という強い意志がある人以外には、コスパが悪く感じられるケースも多いでしょう。
3. 年間400万円決済でプラチナエリート?
もうひとつ有名な特典が、「年間400万円決済でプラチナエリート資格が付与される」点。プラチナエリートになると、
- レイトチェックアウト
- 空室状況に応じた部屋のアップグレード
- ラウンジアクセス(朝食サービスやドリンク・軽食が楽しめる)
などの恩恵があるとされています。ところが、この特典を深掘りすると以下のような課題が浮かび上がります。
3.1 400万円決済のハードルが高い
まず、年額400万円をカード決済するのは決して容易ではありません。家賃や公共料金、保険などをすべてカード払いに回しても、自治体によっては税金の支払いが制限されるなど、人によって実現難易度は大きく異なります。
3.2 プラチナエリートが増えすぎている問題
マリオットボンヴォイには上位エリートとして「アンバサダー」「チタン」「プラチナ」があります。近年は「プラチナチャレンジ」などさまざまなキャンペーンが多くの人に利用され、「プラチナエリートのホルダーが激増」しているのが現状。そのため、週末や繁忙期にはアップグレードを受けられない、ラウンジが混雑気味など、「思ったほどの優遇が得られなかった」という声も耳にするようになりました。
3.3 ホテル利用機会が多くなければ本末転倒
プラチナエリートの真価は、やはりマリオット系ホテルの利用が多い人ほど享受しやすいです。年間数回しか旅行しない、かつその都度マリオット系列に泊まるわけではない、というライフスタイルの場合は、「恩恵をフル活用できずに終わるかもしれない」という懸念も拭えません。
たとえ部屋のアップグレードやラウンジアクセスが欲しいとしても、そこに400万円もの決済負担が伴うとなると、「本当にそこまでして達成すべきなのか」と感じる人は多いでしょう。結果、プラチナエリート=超お得というイメージに踊らされると、後々「こんなはずでは…」となってしまうリスクもあるのです。
4. マイル還元率1.25%の真実
マリオットボンヴォイアメックスを紹介しているサイトやSNSでは、「マイルが1.25%で貯まる」とよく宣伝されています。その根拠となるのが、6万ポイントをまとめてマイルに交換すると25,000マイル(2万+5千ボーナス)になるという計算です。
確かに1.25%は低くない数字ですが、他のカードを比較すると決して「圧倒的に高いレート」というわけでもありません。例えば、エポスプラチナカードのように、条件次第ではマイル還元率1.5%以上になるケースも存在します。したがって、
- ホテル特典も併せて活用する
- マリオット系列のポイントを効率的に貯めたい
というように、マイル以外の用途も重視している場合にこそ活きる還元率だと言えます。純粋にマイルを貯めたいのなら、他のカードの方が条件が良い可能性もあるのです。
ポイント:
- マイルも貯めたいし、ホテル宿泊特典も欲しい → マリオットボンヴォイアメックス
- マイル還元率最優先 → 他カードの方が有利な場合あり
5. 結局、どんな人に向いているカードなのか?
ここまでの内容を踏まえ、マリオットボンヴォイアメックスに向いているのは、次のようなタイプの方だと考えられます。
- 年に数回以上、必ずマリオット系列のホテルに泊まる
- 無料宿泊特典を使えるタイミングが多い
- プラチナエリートの恩恵(アップグレードやラウンジアクセスなど)をフルに活用しやすい
- すでに年間数百万円規模のクレカ決済がある
- 年間400万円決済が苦にならない
- ポイントも大量に貯まるので、無料宿泊権やマイル移行を存分に活かせる
- マイル還元率よりもホテル特典を優先したい
- マイルがメインではない
- 旅行の目的が「高級ホテルステイ」にある
逆に、上記に当てはまらない方は、年会費負担や条件の割にメリットを感じづらい可能性が高いです。「無料宿泊権」や「プラチナエリート」という言葉だけに飛びつくと、結果的に損をするリスクもあるので注意が必要でしょう。
6. まとめ
マリオットボンヴォイアメックスは、確かにハマる人には非常に魅力的なカードです。一方で、
- 最短でも2年目以降にならないと無料宿泊特典を得られない
- 都内の高級ホテル週末宿泊などはポイント上乗せが必要
- 年間400万円決済でプラチナエリートというハードル
- マイル還元率1.25%自体は決して高還元トップクラスではない
といったデメリットがあるのも事実。SPGアメックス時代に魅力を感じた人が、現在のマリオットボンヴォイアメックスも同じように使えるとは限りません。
もしあなたが「絶対にマリオット系列に泊まりたい」「年会費を払ってでも得たいメリットがある」「すでに年間決済が高額」という方なら、検討する価値は十分にあるでしょう。しかし、年に1度利用するかどうかレベルであれば、無料宿泊権の魅力は激減します。
最後に、実際に利用していた筆者の結論としては、ライフスタイルに合わなければ早期解約も選択肢のひとつです。カードを作る前に「どれほどマリオット系列を利用するのか」「年間決済を達成できるのか」をしっかり見極めることをおすすめします。