みなさんこんにちは、わんだらです。株をはじめようと考えたとき、まず気になるのが「今この銘柄を買っても大丈夫なの?」という判断材料ではないでしょうか。株価は日々上下動しますし、人気のある銘柄に飛びついて買ったものの、実は割高だった…なんて失敗は避けたいものですよね。そこで重要になってくるのが、株式投資の世界でよく耳にする「PER」と「PBR」という指標です。
「でも、PERとPBRって聞いたことはあるけれど、正直何が何だかよく分からない…」「覚えたとしても、どっちがどっちだったか混乱する」という声は少なくありません。そこで本記事では、PERとPBRの意味や使い方をわかりやすく解説し、具体的にどのようなタイミングで活用すれば良いかをお伝えしていきます。
1.株価がつく仕組みとPER・PBRの役割
株価は「利益 × 投資家の期待値」
株価がなぜ上下するのかをシンプルに言うと、企業が生み出す“利益”に対して、投資家の“期待値”が掛け合わさって株価が決まるからです。企業が好調であれば利益は増え、その企業に対する期待は高まります。すると需要が増え、株価も上昇しがちです。逆に業績が悪化している企業であれば投資家の期待は低くなり、株価は下落の傾向にあります。
こうした判断材料を数値で明確に見せてくれるのが「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」です。ある銘柄が“割高”なのか“割安”なのかをざっくり把握できるので、「今買いに行くべきか」「今は様子見すべきか」の重要な参考材料になります。
2.PERとは?
PER(株価収益率)の基本
- 正式名称:Price Earnings Ratio(株価収益率)
- 計算式:株価 ÷ 1株当たりの利益(EPS)
PERは「株価が企業の利益の何倍になっているか」を示します。たとえばPERが15倍なら、投資家はその企業の1年あたりの利益の15年分を織り込んで株価をつけているイメージです。ここで登場するのが覚えやすいフレーズ――「PERはパーッと期待値」。つまり、投資家がその企業にどれだけ期待しているかを見る指標といえます。
なぜ投資家の期待値なのか?
企業の利益はある程度客観的に把握できますが、“この企業は将来どれくらい伸びるのか”という期待値は投資家の感情や市場のムードによって大きく変動します。人気がある、成長が期待されるとなると「将来もっと儲かるかもしれない」と考える投資家が増えるため、PERが高くなるわけです。逆に「そこまで期待できない…」と思われていればPERは低めに出ます。
PERの目安は15倍前後
PERの評価をするとき、よく「15倍前後が一つの目安」といわれます。15倍より低ければ割安傾向、極端に高ければ割高傾向と判断できます。たとえばPERが80倍・100倍となっていれば、すでにかなり期待が織り込まれており、株価が過熱気味といえるかもしれません。一方、10倍以下で推移しているような企業は、まだ市場からそこまで評価されていない・期待されていない可能性が高いです。
- 割高の例:PER 50倍以上
- 標準的な例:PER 15倍前後
- 割安の例:PER 10倍以下
3.PBRとは?
PBR(株価純資産倍率)の基本
- 正式名称:Price Book-value Ratio(株価純資産倍率)
- 計算式:株価 ÷ 1株当たりの純資産(BPS)
PBRは「もし企業が解散した場合、投資家にどれだけお金が戻ってくるか」を数値化したものともいえます。ここで役立つ覚え方が――「PBRはビールで解散」。ちょっとユーモアを交えていますが、要するに企業が解散して資産を整理した際、株主にいくら返せるのかを把握するための指標といってもいいでしょう。
1倍を割っている企業は割安?
たとえばPBRが1倍の場合、理論上は「出資した額(純資産)と株価が同じ」ということです。もし1倍を下回って0.8倍であれば、「解散した場合に出資額より多くは返ってこない(むしろ少ない)」と市場は見ていることになります。裏を返せば、「市場がこの企業を実際の純資産より低く評価している」=割安かもしれない、という見方ができます。
ただし、PBRが低いという理由だけですぐに飛びつくのは危険です。業績が良くないために市場評価が下がっているケースもあるからです。ですので、PBRはあくまで「この企業が現在どの程度の評価を受けているか」を見る一つの材料であり、企業の業績動向や将来性を合わせて考える必要があります。
4.PERとPBRを活用した銘柄選びのポイント
高すぎるPERは要注意
PERは高ければ高いほど「多くの期待が込められている」というサインです。つまり、その分株価がすでに上がりすぎている可能性もあります。たとえば新興市場のIT企業などは、将来の成長期待が高いためPERが100倍を超えることも珍しくありません。勢いに乗っているときはさらに上昇する余地があるかもしれませんが、ひとたび失速すると大きく下落するリスクも。
買い時を探るときには「PERがどの水準にあるか」をチェックすることで、株価が割高になりすぎていないかを見極めることができます。
「1倍」を下回るPBRは宝の山…かもしれない
PBRが1倍を下回っている企業は、解散価値から見て割安と判断されるケースが多いです。実際に1倍以下の企業の中には、「本業は低迷気味だが、実は不動産などの資産を多く持っている」「海外展開や新事業で業績回復のチャンスがある」といったケースが潜んでいます。こうした企業に着目して調べてみるのは面白いでしょう。
しかし、PBRが低いからといって必ずしも今後上昇するとは限りません。業績の悪化やビジネスモデルの限界などによって、本当に市場評価が低いままの企業もあります。投資判断をする際は、PBRに業績や将来性を掛け合わせて総合的に検討するのが大切です。
投資の基本は「安く買って高く売る」
株式投資でリターンを得る基本はシンプルに「安く買って高く売る」こと。PERやPBRといった指標を活用すると、高すぎる株価を掴むリスクを下げられます。特に急騰中の銘柄は魅力的に見えますが、PERやPBRが軒並み割高水準にある場合は、一旦落ち着くまで待ってみるのも手段の一つ。逆に株価が下落して割安になったと感じる銘柄があれば、押し目買いのタイミングを検討する際の根拠にもなります。
5.実例で見るPER・PBRの違い
たとえば、製造業の大手企業を例にとると、PERが10倍前後、PBRが1倍前後というケースはよく見られます。これは利益をきちんと出している安心感がありながら、そこまで急激な成長期待はされていないと市場が判断している状況が多いです。
一方、ITやベンチャー企業などではPERが100倍を超えていることもあります。株主にとっては「将来の高成長を期待している状態」ですが、同時に「割高感が強い」ともいえます。PBRについても同様で、成長企業の場合は2倍や3倍、それ以上に高くなることも珍しくありません。
このように、同じ指標でも業種や企業のビジネスモデルによって数値の解釈は変わることを押さえておきましょう。
6.PERとPBRを混同しないコツ
多くの初心者が「PERとPBR、どっちがどっちだったかな?」と混乱しがちです。
- PER:企業の利益に対する投資家の期待
- PBR:解散価値に対する評価
この2つをしっかり押さえるだけで、かなりイメージがつかみやすくなります。繰り返しになりますが、PERとPBRはそれぞれ別の角度から企業を評価しているため、両方を見ることで「人気(期待値)と実質的な価値(純資産)のバランス」を把握できます。
7.PER・PBRの活用時に気をつけたいこと
業績や財務状況の確認は必須
PER・PBRは、企業価値を表す数ある指標のうちのほんの一部です。最終的には企業の売上や利益の推移、負債の状況、将来性などを総合的に判断して投資を行う必要があります。PERやPBRだけに頼ってしまうと、割安だと思って買った銘柄が実は業績不振続きだった、という事態になりかねません。
業種特性や市況も考慮する
製造業なのか、IT・通信系なのか、あるいは小売やサービス業なのか。業種によって投資家が織り込む期待値は大きく違います。また、マーケット全体のトレンド(強気相場・弱気相場)によってもPERやPBRは変動します。業種ごとの水準や市況の強弱を踏まえたうえで、「その水準が高いのか、妥当なのか、安いのか」を判断するのが重要です。
割安=必ず買いでもない、割高=必ず売りでもない
指標上で割安に見えても、企業が抱えるリスクが大きければ上昇しないこともありますし、割高に見えても今後爆発的な成長が見込まれる企業なら、さらに上値が期待できるかもしれません。大切なのは「PERとPBRが示すメッセージを理解しながら、他の情報も合わせて投資判断をする」こと。あくまで判断材料の一つとして捉えましょう。
8.まとめ:PERとPBRを味方に、賢い投資判断を
本記事では、株式投資の重要指標であるPERとPBRについて、以下のポイントを中心に解説しました。
- PER(株価収益率):企業の利益×投資家の期待値
– 15倍前後を目安に割高・割安を判断
– 将来の高成長が期待される企業はPERが高く出やすい - PBR(株価純資産倍率):解散した場合の純資産評価
– 1倍が“理論的な分かれ目”
– 1倍を下回る企業は、資産から見て割安かもしれない
どちらも、「今この株は割高なのか、割安なのか」のヒントを与えてくれる重要な指標です。とはいえ、数字だけを追いかけても正しい投資判断にはつながりません。「PER・PBR + 業績・財務状況・業種の特性・市場トレンド」という複数の要素を組み合わせ、総合的に判断することが成功への近道です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、初心者の方も、ぜひこの2つの指標を入り口に、日々のニュースや企業情報をチェックしてみてください。自分なりの「これは割安だ!」「今は割高かも」といった感覚が磨かれ、投資の面白さをより深く味わえるようになるでしょう。