こんにちは、わんだらです。「収入が少ないから、ゆとりのある生活なんてムリ……」と思い込んでいませんか? 実は同じように年収が300万円未満でも、十分に豊かで満足度の高い暮らしを実現している国があります。それは、ドイツです。ドイツ人の平均的な手取り年収は日本円にして約290万円といわれていますが、ある調査ではなんと93%の人が生活に満足しているという結果が出ています。
多くのドイツ人は私たち日本人と比べて決して高収入ではないにもかかわらず、「質素だけどゆとりのある暮らし」を上手に実現しています。彼らの秘密は、お金そのものよりも自分の自由な時間や精神的な安定を大切にするライフスタイルにあるのです。
本記事では、熊谷徹さんの著書『ドイツ人はなぜ年290万円でも生活が豊かなのか』の内容をもとに、ドイツ人の“すごい節約術”や、考え方・価値観の違いを解説していきます。制度や法律の違いもあるため、すべてを日本にそのまま当てはめるのは難しい部分もありますが、「少ないお金でもゆとりを感じられる」ヒントはきっと見つかるはずです。ぜひ、最後までご覧ください。
ドイツ人の収入事情と生活満足度
まずは、ドイツ人の年収事情を整理してみましょう。2017年時点でのドイツ人の平均的な手取り年収は約290万円。しかもドイツには、税金や社会保障費が重くのしかかります。給与の1/3以上が差し引かれるケースも珍しくありません。
さらに、ドイツの付加価値税(日本の消費税に相当)は19%と非常に高めです。また、ドイツ人の9人に1人(約1,000万人)は年収105万円未満という統計もあります。一見すると「かなり厳しい生活なのでは?」と思うかもしれませんが、驚くべきことに81%のドイツ人が自分の経済状況を“良い”と答えているのです。
この背景には、根本的にお金や暮らしに対する考え方が違うという理由があります。日本人とは違う価値観・節約術に迫っていきましょう。
1. 周囲より“自分の考え”を優先する:強い個人主義
ドイツ人はよく「個人主義」だと言われます。要するに、他人がどう思うか、どう見られるかよりも、自分の考えで合理的に判断するのです。服装もラフだったりノーメイクだったりと、人の目を気にしすぎない人が多いのも特徴です。
一方で、日本では「周囲に合わせて出費する」場面が意外と多いですよね。例えば、会社や仲間内へのお土産やプレゼント代、結婚式のご祝儀など。もちろん「お互いさま」の精神は素晴らしいものですが、「本当は気が進まないのに周囲の空気でお金を払ってしまう」ということも少なくないでしょう。
ドイツ人の場合、こうした“形式的な出費”をそもそも重視しません。お祝い事や贈り物の文化が比較的少ないため、人付き合いにかかるコストが少なく、結果的に余計な支出を抑えることができるのです。「個人主義」と聞くと冷たいイメージを抱くかもしれませんが、自分にとって大切なことが明確なので、お金も時間も無駄に浪費しづらいのです。
2. 夜はパンとハムだけ!? 質素な食事スタイル
「ドイツ」と聞くと、ビール片手にソーセージを豪快に食べるイメージが強いかもしれません。ですが、実際の日常的な食事はかなり質素です。
- 朝はパンやシリアル程度
- 昼は温かい料理をしっかりと
- 夜はまたパンやハム・チーズなど簡単なもので済ませる
さらに、ドイツには閉店法という法律があり、日曜日や祝日はほぼ全てのお店が閉まります。平日も夜8時には閉店が基本。外食のハードルが自然と高いため、生活全体が無駄の少ないスタイルへと向かいやすいのです。
夜の食事を簡素に済ませるメリットは、食費を抑えられるだけでなく、家事の負担や買い物の回数も減るので時間的なゆとりが生まれます。現代人は「夜に食べすぎ」で肥満や生活習慣病などのトラブルを抱えがちです。ドイツの食事スタイルは健康面から見ても合理的といえるでしょう。
3. 何でも自分でやる!DIY精神が節約のカギ
「ドイツはものづくり大国」と耳にすることが多いと思います。これは個人レベルにおいても例外ではありません。家具の組み立てや自転車の修理、自宅の改装など、できることは自分でやるのがドイツ流です。
当然ですが、人に作業を頼めば頼むほど人件費やチップがかかります。ドイツではチップ文化も根強いので、その分の出費もバカになりません。そう考えると、最初はちょっと面倒だと思っても、自分でできることを増やせば長期的に節約につながります。
日本でも、組み立てサービスや配送・設置などに追加料金がかかるケースは多いですよね。最近はYouTubeやブログなどで「DIYのやり方」を詳しく解説しているコンテンツが充実しています。分からないことは自分で調べてトライしてみると、出費が減るだけでなくスキルも身につき、ちょっとした達成感も得られます。
4. 他人に期待しない=ストレスも減る
ドイツで暮らす人たちは、サービスや他人に大きな期待をしない傾向が強いです。例えば、日曜日はお店が閉まるのが当たり前で、それに対して文句を言わない。「サービスはこんなもの」「お互い様」と考えるからこそ、不満やストレスをためないのです。
他人に期待しすぎると、ちょっとしたことでイライラしたり失望したりしがち。そうしたストレスは暴飲暴食や衝動買いといった“浪費”を生む要因にもなりえます。ドイツ人のように**「こんなもんだよね」と受け入れられる**と、自然とストレスが減り、無駄遣いをする必要もなくなっていきます。
もちろん、日本では24時間営業のコンビニや「お客様は神様」的な接客文化が根強いため、急にライフスタイルを変えることは難しいかもしれません。それでも、まずは「他人やサービスに過度な期待をしない」「イライラする前に一呼吸おく」といった心がけを少し取り入れてみましょう。ストレスが減ると自然と出費も減るはずです。
5. 休日は“ゆっくり休む”が基本
日本では休日といえば、ショッピングやイベントなど「消費する楽しみ方」が主流ですよね。しかし、ドイツ人はお金をあまり使わず、公園を散歩したり、サイクリングをしたり、家族とゆっくり過ごしたりといった休日を送ることが多いのです。
理由の一つに、ドイツは長期休暇をしっかり取る文化があることが挙げられます。彼らは「まとまった休みにまとめて旅行へ行く」ため、普段の週末には出費をできるだけ抑えます。また、単純に大混雑や長時間の移動を避けて、リラックスを重視している面も大きいのです。
休日にわざわざ都心の雑踏へ足を運び、高い買い物や外食でストレスを感じるよりも、家族や友人とゆっくり会話を楽しむほうが疲れもとれやすいものです。実際、自然の中を散歩すればセロトニンという幸福ホルモンが、家族や友人と過ごせばオキシトシンという“つながり”のホルモンが分泌されて心身ともにリフレッシュできます。
6. お金より“自由な時間”を優先する考え方
最後に、ドイツ人の多くが「お金よりも自分の時間を大切にする」考え方を持っています。残業はほとんどなく、年間30日の有給休暇フル消化が当たり前。2週間も続けて旅行に行く人は珍しくなく、周囲もそれを咎めたりしません。
お金を稼ぐことはもちろん大事ですが、プライベートの時間や健康を犠牲にしてまで収入を伸ばしたい人はそう多くありません。心に余裕があるからこそ、他人にも必要以上に干渉せず、期待もしすぎない。結果的にストレスを抱え込まず、節約にも繋がる好循環が生まれます。
ただし、ドイツと日本では社会保障や教育費、法律、文化が大きく異なります。完全にドイツ型の働き方や節約スタイルを真似するのは難しい部分がありますが、それでも「無理に稼ごうとせず、ほどほどの収入でも幸せになれる」「自分の大切なものを明確にする」という考え方は、私たちにも活かせるはずです。
まとめ:少ないお金でも「心の余裕」を育む
ドイツ人が年収300万円に満たない収入でも豊かに暮らせる理由は、単に「制度が違う」からだけではありません。むしろ一人ひとりの価値観や物事の捉え方が大きく影響しています。
- 個人主義で周囲や形式に左右されない
- 夜は簡単で質素な食事を心がける
- 自分でできることはDIYで挑戦する
- 他人への期待値を下げ、ストレスを減らす
- 休日はしっかり休むことを優先する
- お金よりも自由な時間や健康を大切にする
これらの考え方を少しずつ取り入れるだけでも、無理のない範囲で出費を抑え、心の余裕を生み出すことができるでしょう。
もし興味をもたれた方は、熊谷徹さんの著書『ドイツ人はなぜ年290万円でも生活が豊かなのか』をぜひ読んでみてください。ドイツ人の暮らし方や考え方がより詳しく紹介されており、節約術だけでなく「自分らしく生きる」ためのヒントがたくさん詰まっています。
収入の多い・少ないにかかわらず、本当に大切なのは「どんな価値観で毎日を過ごすか」。少ないお金で暮らしの満足度を高めるドイツ人の知恵を、ぜひ私たちの日常に取り入れていきたいものです。