みなさんこんにちは、わんだらです。近年、「貯蓄から投資へ」という言葉を耳にする機会が増えています。少子高齢化や社会保障費の増加といった社会背景もあり、これまでの「貯金さえしていれば安心」という常識が通用しなくなってきました。とりわけアメリカなど、インフレが継続してきた国では株式投資や投資信託に積極的に取り組むのがごく一般的な姿。それにもかかわらず、日本人はなぜいまだに投資に二の足を踏んでしまうのでしょうか?
本記事では、現代において最も効率的とも言われる「長期のインデックス投資」を中心に、投資をすることのメリットと、それでもなお多くの日本人が投資をしない“本当の理由”をわかりやすく解説します。さらに、2024年から始まった新NISAもふまえて、これからの時代に必要な資産形成の考え方や対策を一緒に考えていきましょう。
1.日本人が投資をしない現状データ
まず、日本人の投資状況を表す代表的なデータがあります。日本の家計金融資産(約2,000兆円)のうち、半分以上が現金預金であるのに対し、株式や投資信託などに回っている資金はわずか15%ほど。アメリカでは現金は全体の10%程度で、約半分が株式などの投資商品に回っているのと対照的です。
また、内閣官房の資料によると、NISA口座を開設している人の割合はどの年代も20%弱。つまり、8割近くの日本人は投資をしていないのが現状です。こうした数字を眺めると、「日本人は投資を好まない国民性なのでは?」と思われても不思議ではありません。
ところが、世界経済が成長し続ける限り、長期のインデックス投資は資産を増やす強力な手段だと歴史が証明しています。それなのに、なぜ大半の日本人がその“おいしいチャンス”を活かさないのでしょうか?
2.長期インデックス投資の威力
投資と聞くと、「ハイリスクな株式トレード」「ギャンブル的な売買」を想像する方も多いかもしれません。しかし、本記事でおすすめするのは“長期のインデックス投資”という手法です。具体的には、世界やアメリカなど幅広い市場をまるごと買うことで、経済成長の恩恵をコツコツと享受していく投資スタイルを指します。
過去15年で3倍近くに成長
例えば、2007年12月から2022年12月までの15年間、毎月3万円ずつ全世界株式の投資信託を積み立てていたとしましょう。この場合、積み立てた合計額は540万円(3万円×12か月×15年)。それが約1,300万円近くまで膨らんだというデータがあります。
もちろん、過去の成績が未来を保証するわけではありませんが、世界経済は長期的に“右肩上がり”というのは多くの専門家が同意するところ。さらに海外投資すれば、おのずと資金が外貨(ドルなど)に分散されるため、円安やインフレ対策にもなります。
ほったらかし投資のすすめ
実践方法はネット証券で積立設定をするだけ。一度設定すれば、あとは放置でもOKという手軽さが魅力です。10年、20年、30年後の未来を見据えて、福利の力でじわじわと増えていく資産を楽しみにする。これが長期インデックス投資の本質です。
3.それでも日本人が投資をやらない4つの理由
理由1.デフレ時代の成功体験が長すぎた
戦後から高度経済成長期にかけて、日本は大きく発展しました。その中で政府が推奨していたのが「貯金」。貯金を集めて製造業に投資し、経済を成長させる仕組みが成立していたのです。
さらに、デフレが長く続いた日本では、現金を持っているだけでモノの価格が下がり、相対的にお金の価値が上がる時代がありました。加えて、バブル崩壊後の日本株の大暴落が「投資は怖い」というイメージを強めています。かつてのように預金金利が5%を超える時代もあり、結果として「貯金が安心・安全」という考えが根強く残ってしまったのです。
理由2.投資に回す余裕資金がない
金融庁が令和3年に行った調査によると、投資をしない理由の1位は「余裕資金がない」でした。
- 若いうちは給料が低めで奨学金の返済に追われる
- 非正規雇用で正社員と比べると収入や待遇が厳しい
- 失われた20年・就職氷河期世代の存在
これらの要因も重なり、お金が“手元にない”ため、投資に踏み出すハードルが高くなっています。
さらに、「欠乏の罠」という心理的現象も見逃せません。お金がない状態だと人は短期的な欲望を優先しがちで、未来のために投資を回すという発想ができなくなるのです。この悪循環から抜け出すには、それなりの意志力や周囲のサポートが必要になるでしょう。
理由3.新築マイホーム信仰
日本では「家を買うなら新築」が当然と思われており、実際に流通している物件の85%以上が新築。そのため、購入時には頭金や諸費用などで1,000万円近い現金が一気に飛んでいくケースも珍しくありません。
さらに、多くの人が家を買う30代は子育てや教育費が最もかかる時期。結果として「投資に回すお金がなくなる」という現象が起こりやすいわけです。もちろん、家を持つこと自体は悪いわけではありませんが、「普通は家を買うもの」という常識が、投資への取り組みを後回しにしてしまう大きな要因のひとつです。
理由4.バブル崩壊のトラウマ
1980年代後半から90年代初頭にかけて、日本はバブル経済に湧きました。株価も不動産価格も上がり、投資で儲ける人が続出。しかし、バブル崩壊後の株価暴落を経験した人は、「投資はギャンブル」「株なんて怖い」という強烈なイメージを持つように。
その世代から生まれた子供たちも「親から投資は危ないと聞かされる」「学校で投資教育を受けない」まま大人になっていきます。こうして投資へのマイナスイメージが“継承”されてきたのです。
ただし、当時は日本株や不動産といった“局所的な投資”に集中していた点も押さえたいところ。今主流の「世界分散投資」とはリスクの性質がまったく違います。
4.インフレ時代、投資をしないリスクとは
日本も2022年ごろからインフレが進み、電気代や食品価格が次々と値上がりしています。そうなると、現金で持っている資産の“実質価値”が目減りしていく可能性が高いのです。
これまでの「現金最強」の常識は、デフレ下だからこそ通用した面が大きいと言えます。今後は社会保障費の負担増に加え、働き手が減っていく少子高齢化社会。さらに円安が進めば、海外から輸入している物価はさらに高騰するかもしれません。
つまり、今の日本で投資をしないことは“リスクそのもの”になりつつあります。貯金だけでは資産を守れなくなる可能性があるため、早めに投資を始める必要性が増しているのです。
5.新NISAとこれからの時代に必要な行動
投資の一歩を踏み出す上で朗報なのが、2024年から開始した新NISA制度です。これまでは一般NISA・つみたてNISAと区分されていましたが、新制度では非課税投資枠がより拡充され、長期でコツコツ投資する人にとってさらに有利な仕組みになります。
新NISAのメリット
- 非課税枠の大幅拡大:投資で得た運用益や配当が非課税になる
- 長期投資に適した枠組み:つみたて投資と成長投資を併用可能
- ロールオーバー不要:長期保有がしやすい
これを機に、初心者の方でも投資をスタートしやすくなります。今まで投資に踏み出せなかった方は、まずは新NISAの仕組みを学び、月1万円でも良いので「インデックス投資の積立」を始めてみてはいかがでしょうか。
6.まとめ:昭和・平成の常識に流されず、自分の未来を守る選択を
- 日本人が投資しないのは“非合理”だからではなく、歴史的背景や社会構造の影響が強い
- これまでの常識(デフレや高金利、マイホーム神話など)は必ずしも今の時代に合わない
- インフレ時代は投資しないリスクが高まり、資産が目減りしてしまう可能性がある
- 新NISAを活用した長期インデックス投資なら、少額からでも始められる
今の日本は、貯金だけでは将来の生活を守りきれないリスクが高まっています。しかし、新NISAの拡充やネット証券の普及によって、少額でも投資を始めやすい環境が整ってきました。加えて、世界全体の経済成長を狙う「長期分散投資」を活用すれば、ギャンブル的要素を極力抑えながら資産をコツコツと増やすことが期待できます。
もちろん、生活防衛資金として数か月~半年分の生活費を確保してから投資に回すのは大前提。若いうちから「貯金+投資」を並行して行い、将来の自分を少しでも豊かにする選択肢をぜひ考えてみてください。昭和や平成の常識に流されるのではなく、令和の新しい金融環境にあわせたマネーリテラシーを身につけていきましょう。
大切なのは行動すること。 投資に回せるお金がわずかでも、月数千円からでも着実に積み立てを続ける習慣が、自分の未来を守る力になってくれます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。これを機に、あなたも一歩踏み出してみませんか?